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さすがに無理やろ
第3章 峰不二子の攻撃
「さっきの話なんですけど…」
少し向こうに見える水本さん
あ、いや
俺を狙う峰不二子は
全く俺を見ないまま
一方的に話しをはじめた
「教えて欲しいことじゃなくて
ほんとは
聞いて欲しいことがあったんです」
「聞いて欲しい…こと?」
すると峰不二子は
さっきとはうってかわって
しおらしい声で囁いた
「…はい。
新飼さんに相談したいことがあるんです。
二人きりで
話を聞いてもらえませんか?」
い、いきなり
二人きり?!
マジや…
これはマジで誘われてる!
どないしよ…
いや待てよ
誘惑されたわけやない
相談やって言うてるんやし
理由も無しには断り辛い
ここはとりあえず一旦OKするのも有りか?
いやいや
せやけどこれは
遠回しな誘惑かも知れへん
相手は峰不二子やし!
テクニシャンの水本さんやしーーー!
と、俺が言葉に詰まってると
水本さんはチラリと俺に視線を合わせ
そして
電話の子機を持ったまま廊下へと姿を消した
おそらく
誰もいない場所で
話したかったんやろう
電話の向こうから
少し
切なそうな声が聞こえた
「新飼さん…
知ってるんですね」
「え?」
「私の噂…」
あの噂のことか…
噂されてんの
自分も知ってんのやなぁ
さすがに
『聞いたでー』
とは言われへん俺はシラをきることにした
「噂?なんのことや?」
すると水本さんは
今にも泣き出しそうな声で
俺の名前を呼んだ
「…新飼さん…
…困ってるんです、私…
色々噂されて
だから相談したくて…」
「ちょ、ちょっと待ってな。
あれや、あのー
このままちょっと待っとって」
さすがにデスクで話すのはマズイと思い
俺も子機を片手に急いで廊下に出ると
少し先にある階段の影に水本さんの背中を見つけた