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さすがに無理やろ
第16章 きっかけ
それから数時間後
安藤と水本さんと別れて
俺とユリは
久しぶりに公園のベンチに
腰を下ろした

このベンチに座ったのは
ほんまに久しぶりで

「前に座った時は…
まだちゃんと
付き合うてなかった時やったなぁ」

「うん、そうだね」

「あの時は
一緒に住むことになるとか
考えられへんかったわ」

「うん」

俺は
ちょっと口数の少ない
ユリの肩を抱き
寒そうにしてる
膝の上の手を握りしめた

「あん時は
必死やったな…」

「……」

「ユリを
俺のもんにしとうて
必死やった」

「……」

「どないした?
元気ないなぁ」

「ううん、そんなことない」

そんなことない言いながら
声が無茶苦茶暗いやんけ

「キスしてええ?」

「だめ、誰が見てるか、ぁんっ…」

ユリに
してええか?と聞いたくせに
ろくに返事も聞かんまま
俺はユリに
唇を重ねた

「ん…っ…ぁ…」

それは
重ねるだけのものやなくて
深く、甘い
お互いを感じ合うような
長い…口づけ

ユリの身体から
少しずつ力が抜けると
最後には
俺の胸に顔を埋めて
身体を預けた
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