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さすがに無理やろ
第16章 きっかけ
「ユリ…
俺はユリが心配で仕方ないんや」
「……」
「このままやったら
いつかユリは絶対に壊れる。
そもそもおかしな話なんや。
悪いことしてるわけやないのに」
「……」
「ごめん。
辛い思いして
ユリと葵ちゃんが
必死に考え出した答えに
ケチつけるようなこと言うて」
「…ううん…
私も
こんな生活
いつまですればいいのかなって
思うことあったし
一生こうして
生きていかなきゃいけないのかなって
悲しくなったこともあったし…」
そんなこと
思うてたんか
せやったらもう…
「だから今日
水本さんの話を聞いて
なんだか…
色んなこと考えちゃった」
「色んなこと?」
「…うん…
こんな生き方して……
何年も
無駄な時間を
過ごしちゃったのかなって…」
そこで
言葉を詰まらせたユリが心配になって
ユリの顔を覗き込むと
やっぱり
ユリは涙ぐんでて
それを見て
胸を締め付けられた俺は
ユリをしっかりと
抱きすくめた
「無駄なんかやない。
頑張ったやろ?
頑張ってたやんか。
せやから
抜け出せるトンネルもあるんちゃうか?
大丈夫や。
ここら辺で
お疲れさんいうことや。
不安なんは分かる。
けどな
ほんまに心がイカれてもうたら
もっと辛いことになんねん。
せやから
無理するんはもうやめて
あかんかったら
会社なんか辞めたらええし
もう働かんかってもええ。
俺に任せとけ」