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さすがに無理やろ
第4章 惹かれる理由
はぁ……
俺はなんで
なんにも言えんまま
青山さんと別れてしもたんや…
はぁ…
何回目か分からへんほどの
ため息をつきながら
俺はまたビールを喉に流し込んだ
どうしても帰る気になれず
俺は
青山さんを見かけた
あの居酒屋に立ち寄ったんや
まぁ…
独り反省会
みたいな
せやけど俺は
なんであんなに
話しかけられへんかったんやろ
そない物怖じするタイプでもないんやけどなぁ
まぁ同僚の言う通り
青山さんはとっつきにくいとこあるし
笑わへんし
なんやちょっと
怒ってるみたいなとこあるけど…
あ、せや
言葉が丁寧すぎなんよな
距離感じるいうか
テリトリーに入れたない雰囲気醸し出してるいうか…
「すみませーん。
ビールおかわり」
と、青山さんのことばかり考えながら
二杯目のビールを頼んだ時
店のドアが開く音がした
その音につられて
入り口に目を向けると
なんとそこには
青山さんが立っていた
「青山さん!」
青山さんで頭がいっぱいだった俺は
人目も気にせず
つい、名前を呼んでしまった
すると青山さんは
さすがに
『えっ…』
という顔をしたけど
すぐにまた冷静な顔に戻って
俺に軽く会釈をした
「すごい偶然ですね。
ひとりですか?」
当然
『隣に来ませんか』と誘うつもりや
当たり前やろ!
さっきまで
猛烈に後悔してたんやから
「あ…はい…」
ちょっと迷惑そうにしてるんは
誰が見ても分かるほど
せやけど俺は
このチャンスを逃すまいと
半ば強引に話しを進めた
「俺もひとりで。
良かったら隣、座りませんか?
というか…どうぞ」
そう言うと
俺は
俺の右側の席の椅子を引いて
カウンターの中の店員に
視線を合わせた
『早よう
おしぼり出さんかい!』
…と。