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さすがに無理やろ
第4章 惹かれる理由
友達やから
青山さんのこと
『ユリさん』言うてたんか…
あ、せや
そんなことより眼鏡のこと聞かな
そう思うた時
さっきの店員が青山さんのお通しを持って戻って来た
「今日はユリさんの好きな
豆アジの南蛮漬けです」
「あ、うん、ありがとう」
「…お知り合い?」
お知り合い?とは
俺のことや
「あ、同じ会社の方で新飼さん」
青山さんに紹介されて
「どうも」と軽く会釈をすると
その店員は一瞬戸惑った顔をしたあと
「今後ともよろしくお願いします」
と、営業スマイルを見せた
そして
その店員は
「ユリさん、眼鏡は?」と声をかけ
青山さんが鞄から眼鏡を取り出すと
……なんか…妙な空気が流れた
それからすぐ店員は
「ではごゆっくり」
と、声をかけて奥へ行ってもうたけど
俺は歓迎されてないんちゃうか?
という空気が
そこに漂ってる気がした
「あの、新飼さん」
「ん?」
「眼鏡のことなんですけど」
「あ、せや」
なんや…
青山さん眼鏡かけてもうたんか
眼鏡かけてない方が
ええ感じやったのに
「特に理由はないんです。
眼鏡に疲れたから外しただけで」
「ほんまに?」
「はい」
「ほな、またかけんでも外しててええで。
疲れてんのやから」
外してる方が優しい感じで
俺、好きやし
「あ、いえ大丈夫です。
それより教えてもらえませんか?
どうして私を隣に誘ったんでしょうか。
何か話しがあるんですか?
私、何か失礼なことを…」
「え?失礼なこと?
なんでそうなんねん」
青山さんは
いつもの敬語に戻ると
ハキハキとした口調で
まるでロボットのように言葉を重ねた
「青山さん
ちょっと落ち着こ。
どないしたんや急に…」
俺はそう言いながら
落ち着きを無くした青山さんに
あ、いや
落ち着いてない訳やないんやけど
妙に焦ってるような青山さんに
さっきから
コースターに置かれたままのビールを手渡した