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さすがに無理やろ
第5章 避けられても
「B−2、わかります?」

邪念で返事の遅れた俺を心配して
青山さんはもう一度小声でそう呟きながら
俺を見上げた

あっ…なんや
いつもと違う…

その時の青山さんは
冷静でも無表情でもなく
珍しく
ちょっと自信なさげな
というか
心配そうに、というか…
とにかく
あんまり見たことのない表情で
しっかりと俺の目を見ながら
俺からの返事を待っていた

あかん…
なんやこの子
峰不二子と
ことごとく真逆やのに

青山さんとキスしたい
無茶苦茶
青山さんのこと抱きしめたい

「わ、わかってるわかってる。
ありがとうな。
後でお礼するわ」

青山さんにノックアウトされた俺が
絞り出した返事がそれ

すると青山さんは
俺が理解したことにホッとしたのか
『お礼する』
という言葉のレスポンスは無く
ただ小さくうなずいて
自分の資料に視線を落とした

そして聞こえてきた
「提出終わったら
休憩とって45分から続きやりますので」
というオッサンの声

な、何?!
まだあんのか、この会議!!
そう思うたけどしゃあない
急いで書いて休憩や
そんでもって
なんとしても
青山さんと一緒に休憩や!!

今朝の弱気から一転
俄然やる気の出た俺は
めちゃくちゃ急いで書類を書き終え
ペットボトル片手に会議室から
出て行こうとする青山さんに声をかけた

「青山さん、お礼にコーヒーおごるわ」
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