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さすがに無理やろ
第6章 もどかしい偶然
「できれば」
できれば
今日、青山さんに会いたい
「分かりました。
「無理言うてごめんな?」
「とんでもないです。
ご迷惑おかけしたのは私の方なので。
ただ…」
「ん?」
「夕方になっても大丈夫ですか?」
最高や
そのまま夕飯誘えるかもしれへん
「ちょうどええわ。
夕方まで予定あってん」
予定なんか
ほんまは無いけど
「あーけどどこで…
せや、一昨日降りた駅まで行ってもええで。
青山さん、あの辺に住んでんのやろ?」
「あ、いえ
具合が悪くて立っていられなって
あの駅で降りただけで…」
マジか…
そんな具合悪かったのに
今日会うとか大丈夫なんか?
熱は下がったいうても
無理したら
ぶり返すんとちゃうやろか
会うのも夕方からって
それまではゆっくり寝てたい
いうことかもしれん
明日からまた会社やしな…
「青山さん」
「はい」
「やっぱり今日はやめとこ」
「え?」
「一昨日そんな具合悪かったなら
今日はまだ
ゆっくりした方がええわ」
「あ、でも上着を」
「かまへんかまへん。
青山さんに今日会いとうて
急いでる言うただけやねん。
ごめんな?」
そんなこと言われたら
どう返せばええのか戸惑うやろうけど
こうでも言わんと
青山さん
引き下がってくれそうにないもんな
「新飼さん…」
「今日は電話で話せたから
会うんは我慢するわ。
せやから上着は
青山さんが元気になった時でええから
ちゃんと治してな?」
「…ありがとうございます」
「あ、なんか必要なもんないか?
あるなら買うて届けたるで?」
「そんな、大丈夫です」
「あーごめんごめん」
「え?」
「届けるとか言うてもうた。
青山さんの家
知りたがってるわけやないで?」
「わかってます」
ほんまは
知りたいけど
「ほな、ゆっくり休んでな」
「はい、ありがとうございます。
また、あの…連絡します」
「待ってんで」
「…はい」
「ほな」
「…失礼します」