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さすがに無理やろ
第6章 もどかしい偶然

そんな会話の後
次に青山さんから電話がかかってきたのは
水曜日の夜
俺が残業している時だった

もう元気になったから
上着を返したい
そらから
上着を渡すのは
仕事が終わってからか
休日にして欲しいとのこと

上着手渡してんの
会社の人には見られたくない言うことやろう

「かまへんよ。
けど平日は残業で遅くなる時もあるから
土曜とかでもええやろか」

「はい、大丈夫です」

「あと、頼みがあんねんけど」

「あ、はい」

「そん時でええから
飯、付き合うてくれへん?」

「……あ…あの…」

あかんか…

困ってんのか
青山さんの返事は遅い

今回はあきらめるか

せっかくええ感じやのに
グイグイいきすぎんのは
俺の悪い癖や

仕方ない
次に期待や

「ごめんごめん。
また変なこと言うてもうたな。
さっきの無しや。
ほな土曜日」

「あ…はい」

「悪いけど
場所とかは任せてええかな?
俺、まだこの辺
よう分からへんねん」

「わかりました。
じゃあ…また連絡します」


もどかしい…
猛烈にもどかしい

こんなにガードが硬い相手は
初めてかもしれへん

けどそのガードが緩んだとこを
俺は猛烈に見たいんや

あー…残業する気うせたな
もう帰るか

頭の中が
青山さん一色になってしまった俺は
そこで残業を切り上げ
エレベーターへと向かった

時間が遅いせいもあって
オフィスはやたらと静か

降りてくるエレベーターにも
もう誰も乗ってないやろう
と、思いつつ
俺はやや油断したまま
エレベーターが開くのを待った

そして
エレベーターが到着し
そのドアが開いた瞬間
「あっ」
俺は思わず声を出してしまった

そのエレベーターには
青山さんが
一人で乗ってたからや
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