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さすがに無理やろ
第7章 揺れる青山さん

とにかくガードの固い青山さんを説得した俺は
最近見つけた居酒屋へ
青山さんを連れて行くことにした

その店は
俺の住んでるマンションの近くで
焼き鳥が美味いんや

途中でスーツを家に置き
それから居酒屋まで移動することになった

「ちょっと歩くけど大丈夫?」

「あ、はい」

喫茶店を出てから気がついたけど
青山さんは
スニーカーを履いていた

白い肌に似合う
淡い色の柔らかそうなカットソーに
ベージュのふわりとした長いスカート
それにスニーカー

会社での雰囲気とは
全く違う青山さんに
俺は猛烈に惹かれてたけど
褒めてええもんかどうか
まだつかめず
あえてまだそのことには触れずにいた

眼鏡のこともそう
喫茶店に着いてから
髪結んでたのもそう

聞きたいことは山ほどあるけど
俺はとりあえず我慢していた

居酒屋に無事到着するまでに
青山さんの気が
変わってしまわんように

「あ、あのレンガの建物や。
俺、あそこに住んでんねん。
スーツ置いたらすぐに降りてくるから
ちょっと待っとってな」

「はい」

まだ居酒屋へ行くことを迷ってんのか
喫茶店を出てからちょっとおとなしい青山さんを
マンションの入り口で待たせると
俺は急いで部屋へと向かった

そして玄関へと戻ると…

青山さんは
玄関から少し離れた道端で
誰かと電話をしていた

けどすぐに俺に気付き
青山さんは電話を切って
俺の元へ駆け寄った

「すみません、ちょっと電話を」

「かまへんよ。
それより
ほんまは用があったんちゃう?
大丈夫か?」

「いえ、用は無くて
ほんと、大丈夫です」

「それならええねんけど
なんかあったら
ちゃんと言うてな?」

「はい」

「あ、今俺のこと
また、案外優しい思うたやろ」

「クスっ」

なんや…違う人みたいやな

口元に手を近づけ
クスりと笑う青山さんは
会社で会う青山さんとは
まるで別人のように見えた

会社では
あんなに硬い表情してんのに
こんなにも
穏やかな顔
する子なんやな…
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