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さすがに無理やろ
第7章 揺れる青山さん
少し酔うてたら
警戒心も薄れるやろうし
思考も緩むはずや
それにしても
堅苦しい喋り方
やめてくれへんかな…
「青山さん」
「はい」
「こないだ具合悪なった時
電車で髪、ほどいてたよな?」
「あ…はい」
「なんで?」
さ、これからや
「…楽なので」
「楽?」
「髪はほどいていた方が楽なんです」
「そうなんや」
「あの日はとても辛かったので
髪をほどけば
なんとか耐えられるかな…と。
結局耐えられなくて
途中下車してしまったんですけど」
酒が入ってるせいか
言葉数増えてきたな
えぇ感じや
「せやったんか…。
ほな仕事の時いっつも結んでんの
しんどいなぁ」
「そうですね…
だから仕事が終わるとすぐに
解きたくなります」
「ほな今もほどけばええのに」
「あっ、いえ」
青山さんは
ハッとしたような顔をして
髪の結び目を手で触った
「楽にしてええで?
仕事中やないんやから」
「今は、あの、大丈夫なので」
大丈夫って
どう言う意味やねん
「喫茶店入る前は
結んでなかったやろ?」
「え?」
「俺な
青山さんが走って喫茶店に入るとこ
信号のとこで偶然見つけてな
あー今日は髪下ろしてんなーって思うててん。
せやけど喫茶店入ったら
青山さん、髪結んでてな」
「……」
「なんで?」
「………」
青山さんは
少し困ったような顔をして
黙りこくってしまった
参ったな
そんな悩ませるよえなこと
聞いたつもりやなかってんけど
「あーごめんな?
言いたないこともあるよなぁ」
「すみません…
どう説明すればいいのか
まとまらなくて」
「ええよええよ。
ただな」
「はい」
「髪下ろしてんの
えぇ感じやったから
結ばんでええのに思うただけやから」
「……」
あ、いや
また青山さんを悩ませてるとかやないで?
今青山さんが黙ってんのは
単純に
照れてるからや