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さすがに無理やろ
第7章 揺れる青山さん

「あー安心した。
二度と会わへん言われたら
ショックで立ち直れへんとこやった。
俺、こう見えて繊細やねん」

「クスッ」

「そうそう、それや。
難しいこと考えんと
そうやってリラックスして
笑うててくれたらええねん。
あ、せや
眼鏡、外したらどうや?
俺とおる時は楽にして欲しいし」

すると青山さんは
うーん…と考えるような仕草を見せたあとで
「新飼さんだから…」
と呟いてから眼鏡を外した

そして
肩を一度大きく上限させると
何かが吹っ切れたように
一瞬、小さく笑って見せた

笑ったいうても
白い歯が少し見えるくらいの
小さな笑顔

けど
それでもそれは
俺はが見た中で一番の笑顔やった

「スッキリしたような顔してんな?」

「はい、スッキリしました。
それに…」

「それに?」

「ホッとしました。
からかわれてるのかなーとか
叱られるのかなー…とか
実は新飼さんのこと
ずーっと警戒していたので」

「それは良かった。
ちょっとは信用してくれたんやな?」

「あー…はい。
少しだけですけど」

「あはは。
まぁ少しだけでもええわ。
ほな信用してくれた記念に
ビールもう一杯おかわりや。
青山さんは?
ビールでええ?」

すると青山さんは
ちょっと遠慮気味に
冷酒を頼んだ

あー…久しぶりやな…
友里子も日本酒が好きやった

けど
今、俺の目の前で
小さな小さなお猪口を
白い柔らかそうな指で
艶のある唇へと運ぶその光景は
また違う色気を漂わせていた

もっと見てたい

もっともっと
砕けていく青山さんを
俺は見たい

「酒が好きな人やっぱええな。
落ち着くわ」

せやから俺は
酒を飲んでる青山さんに
そう何度も漏らし
その言葉に微笑む青山さんをツマミに
ビールを飲んだ

そして
お互いほろ酔いになった頃
青山さんの携帯が震えた

メールか何かが届いたようやった

「新飼さん、そろそろ」

そしてそれを待っていたように
青山さんはもう帰ると言い出したんや
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