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第9章 友達からの脱却

「なぁ、青山さん」

「はい」

「俺のことで
なんか聞きたいことない？」

「聞きたいこと…ですか？」

「そう。
何も聞かれへんのは
俺に興味がないんやないかと思うて
結構凹むねん」

「クスッ」

「デリケートやねんから」

「分かりました。
じゃあ…恋人は？」

おっ！ええなぁ！
中でも恋人のこと聞くとか最高
俺が青山さんの
許容範囲くらいには入った証拠か？

「恋人はおらへん。
転勤になる前に別れてもうたんや」

「そう…だったんですか…」

俺の言葉を聞いて
青山さんは表情を曇らせたけど
俺はなんや不思議な気分やった

友里子のことを思い出したんが
久しぶりやったからや

いつからか
寂しい夜に思い出す女は
友里子から
青山さんに変わってもうてたんよな…

「別れたいうか…
捨てられたいうか。
ちょっと仕事ばっかりし過ぎてな
愛想尽かされたんや。
あんまり構ってやらんかったから」

「…そうなんですか…。
新飼さんは
とてもマメで
そんな風には」

「せやな…俺もそう思うわ。
後悔してるんや。
せやから今は違うで？
マメやし好きな人との時間は大切にする。
もう後悔したないねん。
それに…」

「それに？」

「仕事は大事やけど
上手いことやらんと
四六時中仕事だけやってたら身体壊す」

「…そう…ですね」

「青山さんもやで？」

「…はい」

「マジで心配してんねん。
抱え込みすぎなんと違うか？」

「……」

「まぁ…すぐにどうこう
でけへんのは分かるけどな。
たまには
新飼さんとデートなんで
今日は帰りまーす。
とか言うたらええねん」

「クスッ。
本当に言っちゃいますよ？」

「かまへんよ」

ほんまに
かまへん

「大変なことになります」

「かまへん」

「だって
私なんかと噂になったら
新飼さん何を言われるか」

自分やのうて
俺のこと心配してくれてんのか？
ほんまにもう…

「それで
俺が青山さんと付き合う
既成事実ができるんやから最高や。
みんなの前で
手ぇ繋いで歩いたるわ」