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幼馴染と、そして先生と
第1章 人生の絶望
「ご飯食べた?」
「いや、まだだけど」
「何か食べないと駄目だよ」
「うん、わかってるけど、面倒で……」
「台所貸して、私が何か作ってあげるから」
「いいよ、悪いし……」
「そんなこと言わない。幼馴染なんだから頼ってもいいんだよ」
「ゆ、由美、ありがとう」
 和義は由美を自宅に招き入れた。
 そして、キッチンに案内する。由美は荷物を持ってきており、その中に食材が入っているようであった。また、出来合いの総菜もいくつか詰め込まれている。
「簡単なものだけど、何か作ってあげる。和君は、その間お風呂にでも入っていて」
「いいのか?」
「うん。何か作るから、少し待ってね」
 その言葉に甘え、和義はバスルームに向かった。
 お湯を張っていないので、シャワーで体を洗い流す。
 熱いシャワーを浴びていると、自然と涙が流れてきた。
(もう、父さんには会えないんだ……)
 それを想うと、途端悲しくなってしまう。
 同時に、自分には家族がいなくなってしまった。これから、どうすればいいんだろうか? このまま一人でやってけるのだろうか。不安は尽きない。ただ、いつまでも泣いていられない。時は進むし、学校にだって行かないとならない。そして、その先の将来だって決めないとならないのだ。
「和君……。大丈夫」
 ふと、そんな声が聞こえた。
 脱衣所に、由美の姿がある。心底心配しているような声。
「う、うん、大丈夫……」
 泣いている所を見られたくない。和義は涙をふき取り、快活に言った。
 しかし、由美は見抜いていたのだろう。和義の心情を察し、優しく声をかける。
「背中、流してあげよっか?」
「いや、いいよ」
「遠慮しなくていいよ。今、誰もいないし」
 誰もいないのは逆に問題のような気がした。
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