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微妙なお年頃
第1章 中年女子の浮気事情
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水島コズエ、52歳、専業主婦。
建設会社に勤める5歳年上の夫と社会人2年目の息子と大学4年の娘との4人家族。
夫も息子も仕事から帰るのは夜8時過ぎ。娘も就職先が決まってからは
せっせとバイトに励んでいるので、みんなが帰ってくるまで心置きなく
自分のために時間を費やしている。
週に一度は主婦仲間とランチをし、そして週に二度、多い時は三度
スポーツクラブで汗を流し体を鍛えている。
「そんなに頑張っちゃって、体鍛えるため?それともスタイル維持?
どっちにしても何か目的でもあるの?」
ランチ仲間の静子がもったりとした口調で聞いてくる。
「どっちも大切じゃない?
健康に気使って歳より多少でも若く見られるスタイルを保つってさ。
50超えたからってどうでもいいやっていうの、ダメよ、それ」
ブヨブヨとした体形の静子に向かって鼻を鳴らしてやりたい気持ちを堪えて答えると、
静子は子供みたいに舌を出し、首をすくめた。
「コズエさんの言う通りねぇ。私なんかもう完全にほったらかし状態だもの。
こんなにぽちゃぽちゃしてるわけよね。あなたを見習って私も通うかなぁ、
スポーツクラブ」
言ってるそばからケーキを口に運ぶ。
「まあ人それぞれだからね。でもやる気になったらやってみれば?」
そう適当にあしらった。だって、へたなこと言ってその気にさせちゃって、
私も同じスポーツクラブに通いたい、なんて言われたら、とっても困ることになるのよねと
コズエは口数を減らした。
紅茶を一口すすった後、腕時計に目をやる。
2時か。そろそろ行かなきゃ・・
「私、ちょっと用があるから、一足先に失礼するわ。またね」
そう言うとコズエは自分の支払い分をテーブルに置き、一人店を出た。
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