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微妙なお年頃
第4章 ・・こない

     *

 あれから二ヶ月が経ち、こなくなってから八ヶ月。
いまだに…こない。
だが、これまでのモヤモヤとした不安と心配が一気に消えた。こないのはやはり
閉経というゴールに向かっているということだと、子宮がん検診で判明した。

 特に問題はない、という医師の言葉は、妊娠なんかしていない、
と言っているのと同じことだ。問題は、何にもないんだから。 
 やっと、心の底から安心できる。
閉経という女の一生の中の区切りを迎えることへ対しての、
寂しさというか感慨深さが満ちてくる。何とも言えない心境。
でも女なら、誰もが必ず迎えること。良いように解釈するならば、
もう何の心配もなくオトコを受け入れることができるわけだから、
喜んでもいい事なのかもしれない。
 文子も言っていた。
「もういいのよ、あがっても。これで心置きなく楽しめるじゃない。
 まだ50そこそこよ?体だってちゃんと反応するわけだからさ。
 ここまでよく頑張ったねって、労ってあげようよ、自分をさ」
まあなんと都合のいい解釈なんだろう、とあきれた気持ちにもなったが、
それもそれでありかなと文子の意見を気楽に受け入れた。

 だがしかし、本当の終了宣言までまだ4ヶ月ある。そこまではまだ油断できない。
今度は、このままこないでくれ、そう祈るようになった。
せっかくここまでこなかったんだから、もう終わってくれ、と天に向かって両手を組んだ。





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