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揺れる世界の秘め事
第11章 彼の秘密と答え合わせ
後半に差し掛かった時、ナレーションが久々の登場をした時に、
またチリリと痺れが走る。
……興奮が落ち着いたからか、
しっかりと彼の声を聞いて、
違和感が確信に変わる。
「ああ…そっか…」
誰に言うのでも無く、小さくポツリと呟く。
そっか。そうなんだ。
少しだけ知りたくなかったのと、
納得、安堵、そんな気持ちが混ざり合った、
一粒の涙が頬を伝う。
でも少しスッキリした気分で、何も考えず劇を見入る。
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「はぁ……つっかれた……」
ぐでぇ~とカフェテリアのテーブルに突っ伏す有馬君に
「お疲れ様」と笑ってコーヒーを渡す。
結局有馬君は3役か4役くらい演じきって完全燃焼って感じだ。
劇を見てからリカはなかなか楽しかったようで、
満足そうに笑ってから、
「じゃぁ、あとは頑張れ」なんて言って先に帰って行った。
そんな察しが良くて気配りの上手いリカが本当に大好きだ。
「劇って今日だけなの?」
それとなく、他愛ない話がしたくてうなだれた有馬君の髪の毛をすくように撫でる。
普段の私から…もしくは突然の行動に少しだけ驚いたみたいだけど、すぐに心地よさそうに眼を閉じる。
「劇は文化祭で一回しかやんねぇみたい」
他にも出し物たくさんあるし。
と付け足して笑う。