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喪服奴隷・七菜~香織の巻~
第16章 競争心
『わたしね、おバカだから今まで気がつかなかったんだけど
お姉さんのお腹の中にいる赤ちゃんの父親って、レイプした人って話。
あれは嘘よね。私だったら絶対にそんな人の子供なんて産みたくないもん。
第一、慎重で注意深いお姉ちゃんが、そんな危険なところを歩くなんておかしいわよ』
省吾は言葉に詰まり、目線が宙に浮く。
『それにね、省吾さまが認知なさるってお話。これも変なのよね。
1銭の得にもならないし、経歴に傷がつくだけのことを省吾さまがするわけない。
そうやって考えていくと、考えられることは一つしかないの』

「それはだな」省吾が言いかけたところに、七菜が割って入る。
『香織、いままで嘘をついていてゴメンね。
あなたが考えている通り、私のお腹の中の赤ちゃんの父親は省吾さんよ。
最初は無理やり中出しされて、私が望んだわけでもないのに妊娠させられたの。
でもね、いざ身籠ってみるとお腹の子がかわいいのよ。
堕ろすなんて考えられない。隆さんとの間には、子供ができなかったからなおさらかも。
それで省吾さんには、認知だけお願いしたのよ。
子供は私一人できちんと育てていく覚悟よ。誰の助けも借りません。
だから省吾さんとは何でもないの。私が罪を償う、それだけの関係よ』

もちろんそんなことで香織が納得するはずはなかった。
『やっぱり、省吾さまが愛してらっしゃるのはお姉ちゃんなんだわ。
今日だってお姉ちゃんに気を遣ってばっかり。
子供ができちゃったから、しょうがない結婚するってだけで
ちっとも私を愛してくれないじゃない』
香織は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら訴える。
省吾は頭を掻きながら、天を仰ぐしかなかった。
「わかったよ、俺が悪かった。そこまで言われたら返す言葉がない。
これからはとことん虐めてやろう。それでいいな?」
いきなりスイッチをMAXにする。
都合が悪くなったときはこれが一番だ。
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