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昼想夜夢~君、想ふ~
第7章 隠し事
もし、北条に全てがバレたら
彩花はまた一人になる。
そうしたら、俺がずっとそばにいてやれる。
あの頃みたいに。
「やめてぇぇぇぇーーーーーっ!!」
固く目を閉じた彩花。
これで全てが終わりだと覚悟を決めたのだろう。
ここで俺が北条からの電話を取って全てがバラされたら、きっともう北条のそばにいられないだろう。
「―――――っ!」
ギュッと目を閉じた彩花だが、彩花の耳に入って来たのは
~♪♪、♪~
「え…?」
俺のスマホの着信メロディー。
通話ボタンをスライドさせると思いきや、俺の指先は寸前の所で止まっていた。
「あ…」
「本当に出ると思ったか?」
クスクスと笑いながら彩花を見下ろした。
当の彩花は安堵と恐怖からか体を震わせながら涙をボロボロと溢していた。
「出るわけねぇだろう、こんな状況で」
破壊衝動と破滅願望が入り交じる冷たい俺の心でも、今ここで電話に出たらどうなるかぐらいわかってる。
彩花には怖い思いをさせてしまったが。
~♪♪、♪♪―――――…。
そうしてるうちに、俺の手の中で鳴っていた着信も切れてしまった。
北条も諦めて電話を切ったのだろう。
これだけ長時間鳴らしても出ないのだから諦めるのも無理はない。
「さ、最低…っ!」
涙目で俺を睨む彩花の瞳。
憎しみや憎悪に満ちたその瞳。
こんな瞳を向けられて、背筋からゾクリと煽られた感覚になってしまうなんて、俺は相当質が悪いな…。
「その顔、すっげぇ好き」
「な…っ」
彩花は俺を睨んでるつもりだろうが、そんな涙目で睨んでも逆に俺を興奮させるだけだ。
「だって、その瞳をしてるときは、俺のことしか映してねぇだろう?」