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昼想夜夢~君、想ふ~
第7章 隠し事
スマホを耳にあてて北条が電話に出るのを待った。
彩花の表情は、生きた心地がしないのか今にも泣き出しそう。

「だ、だめっ!お願…っ、はっ、ん、あぁんっ!」




プルルルルル、プルルルルル、プルルルルル…。




「嫌…、嫌ぁ…っ!!」
「せいぜい、北条が出ないことを祈ってるんだな」




ニヤッと笑った俺の顔を見て、これは冗談や脅しじゃないとわかっただろう。
彩花の表情からどんどん生気がなくなって行く。





プルルルルル、プルルルルル、プルルルルル、プルルルルル…。





なかなか電話に出ない北条。
残業が終わって呑みにでも行ったか…。
時間的に帰宅したとしても寝てる事はないだろう。




彩花は祈るように目を閉じている。




プルルルルル、プルルルルル、プルルルルル…。




はぁ、いくらかけても出る気配はないな。
もう少し彩花を苛められると思ったのに、残念だな。

「はぁ、残念。北条は出ねぇみたいだな」

俺は終話ボタンを押した。
その動作を見て彩花もホッとした様子。
俺は残念だが、彩花は助かったという心もち。
それもそうだ。
最初の北条からの着信、そして今のかけ直しの電話。
この数時間の間に北条にバラされそうなタイミングが二回もあったのだから。

「はぁ、ん…、最低…っ!大嫌い…っ」




大嫌い、か。
そんな事、当に知ってる。
今のように彩花を追い詰めるほどに彩花に嫌われてしまうことぐらい。

わかってるのに、鈍い痛みが全身に広がる。

「今更…、そんな事言われなくてもわかってる…」

でも、嫌われる方がましとさえ思ってしまった。



彩花の兄変わりになるくらいなら。
彩花にお兄ちゃんと呼ばれるくらいなら、嫌いと言われた方がましだ、と。



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