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第7章 隠し事

「そんなもの…、何回も言わなくてもわかっ――――」



と、その時だ。
俺の手のひらで、スマホが振動し出した。








「あ…」
「――――…っ」





微かな振動音は彩花の耳にも届いてるはずだ。
俺の胸はドキドキと高鳴っている。



一度ならず、二度までも助かったと安心したか？
神様に感謝したか？
彩花を助けたのが神様なら、今俺に微笑んでくれているのは、鬼か悪魔か、それとも化け物か。

俺の手の中で震えるスマホ。
見ると、スマホに表示されていたのは





『北条 雅志』






あーぁ、せっかく助かったのにな、と
スマホの画面を彩花の顔の近くに持って行き、今の事態を把握させた。


「なっ、あ…」

今の俺の着信に気づいてかけ直して来たのだろう。



この状況的に、彩花にはもう逃げ場はない。
さっき俺が北条に電話をかけ直す姿を見て、俺はこんな状況でも北条と電話出来る人間だと知ったはずだ。

「ま、待って…、出ちゃダメ…」

震える声で俺に訴える。
もう逃げ場はない。
彩花に残された道は、北条に全てを知られてしまう。

もしくは…



「バレたくなかったら死ぬ気で声我慢してろ」

俺の指が通話ボタンに触れた。
これをスライドさせれば通話状態になる。
彩花以上に俺の胸がやばい。
興奮で今にもイッちまいそうなぐらい。

「お願い！やめてっ！そ、それだけは…っ、あっ！」
「――――っ」




「やめて…、やめてえええぇぇっ！」









―――――…。









『もしもし。小川さん』