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昼想夜夢~君、想ふ~
第9章 臨界点
ぎこちない動きでこちらを振り返った彩花。
まるで油の切れたロボットみたいな動きで。
「その髪型、よく似合ってる」
「あ…」
俺が切り落としてしまった彩花の髪。
自責の念もあるが、彩花の幼い雰囲気にそのボブカットはよく似合っていた。
それはお世辞でも何でもなく。
「それじゃ…」
彩花の気持ちを少しでも楽に出来ただろうか?
少しでも悲しみを癒してやれただろうか?
俺なんかに祝われたくないだろうけどな。
彩花に背中を向け、廊下を歩き出すと
「――――あ、あの…っ」
「え…?」
彩花のその声に、俺は振り返った。
絞り出すような彩花の声。
振り返ると、そこには花束を抱いたまま立ち尽くす彩花の姿が。
…あいつ、まだ外にいたのか?
もう外は寒いんだし、さっさと部屋に戻ればいいものを。
「どうした?」
「よ、よかったら、上がって行かない…?」
「――――え…?」
震える声で、俺にそう言った彩花。
その言葉に、俺の頭の中が真っ白になった。
今…、何て言ったんだ…?
「…は?」
「ほら…、寒いし…」
寒い?
いや、確かに寒いが…
さっきとは真逆だ。
さっきは、花束を渡した瞬間に彩花が動揺していたのに、今は。
「へ、変な意味じゃない…。私は、あんたなんか…っ」
彩花の顔が真っ赤に染まって行く。
もう、薔薇の赤みなのかもわからないぐらい。
「でも…っ、お礼ぐらい…っ」
礼…?
そんな売れ残りの薔薇にか…?
あー…、ダメだ…。
俺は北条じゃないし、北条の変わりなんて死んでもごめんだ。
でも、今だけは…。
寂しさを紛らわせる暇潰し相手でもいい。
そんな表情で誘われたら、何も考えられなくなってしまう。
「―――――あぁ、お邪魔するよ…」
まるで油の切れたロボットみたいな動きで。
「その髪型、よく似合ってる」
「あ…」
俺が切り落としてしまった彩花の髪。
自責の念もあるが、彩花の幼い雰囲気にそのボブカットはよく似合っていた。
それはお世辞でも何でもなく。
「それじゃ…」
彩花の気持ちを少しでも楽に出来ただろうか?
少しでも悲しみを癒してやれただろうか?
俺なんかに祝われたくないだろうけどな。
彩花に背中を向け、廊下を歩き出すと
「――――あ、あの…っ」
「え…?」
彩花のその声に、俺は振り返った。
絞り出すような彩花の声。
振り返ると、そこには花束を抱いたまま立ち尽くす彩花の姿が。
…あいつ、まだ外にいたのか?
もう外は寒いんだし、さっさと部屋に戻ればいいものを。
「どうした?」
「よ、よかったら、上がって行かない…?」
「――――え…?」
震える声で、俺にそう言った彩花。
その言葉に、俺の頭の中が真っ白になった。
今…、何て言ったんだ…?
「…は?」
「ほら…、寒いし…」
寒い?
いや、確かに寒いが…
さっきとは真逆だ。
さっきは、花束を渡した瞬間に彩花が動揺していたのに、今は。
「へ、変な意味じゃない…。私は、あんたなんか…っ」
彩花の顔が真っ赤に染まって行く。
もう、薔薇の赤みなのかもわからないぐらい。
「でも…っ、お礼ぐらい…っ」
礼…?
そんな売れ残りの薔薇にか…?
あー…、ダメだ…。
俺は北条じゃないし、北条の変わりなんて死んでもごめんだ。
でも、今だけは…。
寂しさを紛らわせる暇潰し相手でもいい。
そんな表情で誘われたら、何も考えられなくなってしまう。
「―――――あぁ、お邪魔するよ…」