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昼想夜夢~君、想ふ~
第11章 透明な悲鳴





「ふぅー…」




次の日、俺は朝早くに出社し屋上で煙草をふかしていた。
肌寒い気温の中、見上げた空は分厚い鈍色の雲が拡がっている。
これは雨になりそうだな。






「俺は、お前が―――――――」








昨夜、俺は彩花に何を言おうとしたんだ?
いや、記憶が曖昧でよく覚えていないが、俺は何かを言ってしまったんだろうか?
自分の欲望に身を任せすぎて、昨夜の記憶も霞んで思い出せない。

思い出せるのは、彩花の感触だけ。
彩花の柔らかい香りと感触だけだ。
そして、気づけば彩花が俺の前でぐったりしていた。
玄関先で北条の声を聞かせながら、思いのままに彩花を抱いた事しか覚えていない。

一生告げてはいけないと決めた気持ちを俺は彩花に告げてしまったのか?
それすら思い出せない。

「ふぅー…」

その後、家に帰った俺は結局一睡も出来ないまま朝を迎えてしまった。
告げてはいけない気持ちを告げてしまったのではなかろうかと心配になり眠れずじまい。
気づけば外は明るくなっていた。
いつまでもベッドでゴロゴロしてるのも何だしいつもより早く出社したのだ。

はぁ…、会社内でゆっくりタバコを吸える場所はもうここしか残っていない。
朝の澄んだ空気は嫌いじゃないが、一睡もしていないせいで頭が重い。
いや、頭が重いのは寝不足だけのせいじゃないな。
昨夜はいろんな事で頭を悩ませすぎたせいもある。

もし…、彩花が俺の気持ちを知ったらどんな顔をするだろう。
ずっと兄だと思っていた俺に気持ちを告げられたら…。

きっと、俺はもう彩花のそばにはいられないだろう。
俺は、彩花にとって…。


鈍色の空を見上げながらそんな事を思っていた。
俺と彩花を繋いでいるのは憎しみだけ。
そんな俺から告られたら、彩花は…。




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