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昼想夜夢~君、想ふ~
第13章 再来
『安心して。私と純也お兄ちゃんの事は一生言わないから』
「いや、それはわかってるが…」
彩花は絶対言わない。
俺の口が滑らない限り、彩花の口から北条にバレることはないと思っているが…。
『話しは終わった?じゃあ、私そろそろ行かないと』
「え?おい…」
いや、話しはまだ終わっていない。
北条のプロポーズを断った理由をまだ聞いていない。
彩花も考えたい事は沢山あるんだろうが、プロポーズを断る理由になっていない。
せっかく、彩花を諦められると思ったのに…。
「彩花!」
『さようなら、純也お兄ちゃん…』
彩花の寂しそうな声と共に電話は切れた。
俺は怒鳴ってばかりで、彩花の気持ちを聞き出そうともしなかったし彩花の気持ちすら考えていなかった。
ただ、自分の気持ちを押し付けただけだった。
「何なんだよ…」
電話の切れたスマホを呆然と眺めながら、複雑な思いを噛み締めていた。
彩花が北条からのプロポーズを断った理由。
そして、彩花がまだ誰のものにもならないとわかった嬉しさ。
後輩である北条が傷ついてるかも知れない事なんて俺にはどうでもよかった。
名付けようのない気持ちが胸の奥でゆらゆらと踊っているだけ。
あぁ、こうしてる場合じゃないな。
仕事に戻らねぇと。
こんな所で油を売ってる場合じゃねぇんだ。
今は繁忙期で忙しいんだった。
俺は複雑な気持ちを抱えたままトイレを後にした。
今朝より少し、晴れ間が広がってる頭で。
そして、この時の俺は気づいていなかった。
電話が切れる直前に聞こえた彩花の言葉の意味を。
寂しげな声で呟いた『さようなら』の意味を。
「いや、それはわかってるが…」
彩花は絶対言わない。
俺の口が滑らない限り、彩花の口から北条にバレることはないと思っているが…。
『話しは終わった?じゃあ、私そろそろ行かないと』
「え?おい…」
いや、話しはまだ終わっていない。
北条のプロポーズを断った理由をまだ聞いていない。
彩花も考えたい事は沢山あるんだろうが、プロポーズを断る理由になっていない。
せっかく、彩花を諦められると思ったのに…。
「彩花!」
『さようなら、純也お兄ちゃん…』
彩花の寂しそうな声と共に電話は切れた。
俺は怒鳴ってばかりで、彩花の気持ちを聞き出そうともしなかったし彩花の気持ちすら考えていなかった。
ただ、自分の気持ちを押し付けただけだった。
「何なんだよ…」
電話の切れたスマホを呆然と眺めながら、複雑な思いを噛み締めていた。
彩花が北条からのプロポーズを断った理由。
そして、彩花がまだ誰のものにもならないとわかった嬉しさ。
後輩である北条が傷ついてるかも知れない事なんて俺にはどうでもよかった。
名付けようのない気持ちが胸の奥でゆらゆらと踊っているだけ。
あぁ、こうしてる場合じゃないな。
仕事に戻らねぇと。
こんな所で油を売ってる場合じゃねぇんだ。
今は繁忙期で忙しいんだった。
俺は複雑な気持ちを抱えたままトイレを後にした。
今朝より少し、晴れ間が広がってる頭で。
そして、この時の俺は気づいていなかった。
電話が切れる直前に聞こえた彩花の言葉の意味を。
寂しげな声で呟いた『さようなら』の意味を。