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昼想夜夢~君、想ふ~
第15章 君、想ふ
北条は、俺が思ってるよりずっといい男だった。
敵に全てを任せて身を引くなんて、俺にはとてもじゃないが出来ない事だ。
彩花を想う気持ちはあいつも一緒だった。

「…まー君には、純お兄ちゃんの名前は言ってない…」
「…わかってる」
「でも…、プロポーズを断ったときに自分の気持ちは全部言っちゃった…。田舎に帰ることも、仕事を辞めたことも」
「…あぁ」
「それから――――」



俺の心なんてとうに決まっていた。
どうせ許されない。
俺の犯した罪はそう簡単に許されない。
だったら、このまま地獄に堕ちてもいい。



「私は…、酷い女に成り下がったって…」






俺の胸で泣きながら、でもその腕は俺の背中に回されていた。

道連れにしたいわけじゃない。
彩花だけは幸せになって欲しいと願った。

でも、彩花がもし望んでくれるなら
このまま一緒に地獄でもどこでも堕ちていいと思った。
全くバカげた話だ。





「俺も、今の会社は辞める」
「え…?」
「北条のこともあるし…」

今度の事がバレたら、俺は間違いなく左遷だ。
北条は俺と彩花の事をバラしたりはしないだろう。
だが、俺のせめてもの贖罪だ。
北条だって、もう俺の顔は見たくないだろう。

どっちにしろ、仕事を放り出して会社を飛び出したのだから減給は免れないだろうし。

「どうせなら、このまま二人で何処かへ逃げるか?」
「でも、そんな…」
「構わねぇよ」

どのみち、俺に待ってるのは地獄だ。
それを覚悟して彩花を奪った。


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