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昼想夜夢~君、想ふ~
第2章 記憶




「小川さん!契約おめでとうございまーすっ!!」
「…あぁ。ありがとう」

その日、俺と北条は会社帰りに居酒屋に立ち寄り、二人で生ビールで乾杯していた。
ずっと携わっていたプロジェクトの成功を祝して、二人だけで祝賀会を開いていたのだ。
と、言っても契約を成立させたのは俺で、北条は何もしてないがな。

ただ、契約を取れたお祝いをしようと言うことでムリヤリこの居酒屋に誘われたのだ。

「ずっと前から交渉してた甲斐がありましたね!!」
「あぁ。まぁな」

俺達が働いてるのは全国的に有名な某アルコール飲料メーカー。
ビールから酎ハイまで幅広く扱っている。
この度、大手百貨店に我が社が新しく考案したアルコールを置いて貰える事になったのだ。
二年も前から何度も何度も交渉を重ねてやっと得ることの出来た契約。

北条以上に、契約を成立させた俺の方が内心めちゃくちゃ嬉しいんだけどな。
北条は祝賀会に託つけて飲みたいだけだろうし。
しかし、祝賀会を開いてくれるのは嬉しいが、男二人だけの祝賀会というのも味気ないものだ。

「お前と二人で祝賀会というのもなぁ」
「仕方ないッスよ~。うちの部署じゃ俺と小川さん以外は誰も飲まないッスもん」

近頃、酒を飲まない若者が増えた。
苦手とかではなく、酒を飲み、騒ぐ事に意味を見出だせないらしい。
そのせいか、今年は例年に比べて新入社員の人数も激減した。
これも時代の流れなのか…。

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