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昼想夜夢~君、想ふ~
第2章 記憶
今や居酒屋ですら禁煙の波が押し寄せて来てる。
一昔前なら酒を飲みながらタバコを吸うなんて当たり前の光景だったのにな。

そんな事を考えてる中年男の前で、北条はビールをごくごくと飲み干している。
よほど喉が乾いていたのか、今回の契約が嬉しかったのか…。
ま、酒好きのこいつならアルコール飲料メーカーで働くことに何の躊躇いもなかっただろうな。

「お前、よく飲むな。そんなに飲んで大丈夫なのか?」
「大丈夫ッスよ!!小川さんこそ、全然進んでませんよ?」
「俺はゆっくり飲ませてもらうよ」

注文したつまみの唐揚げやサラダを摘まみながら上機嫌の北条。
たまに、会社の後輩を飲みに誘っても冷たくあしらわれてしまう。
「残業代は出るんですか?」とか「強制ですか?」とか。
中には就活浪人になりたくなくて、妥協して就職した社員もいるんだろう。

酒嫌いな若者が増えてる中で、北条のような飲みっぷりの社員を見ると気持ちがいいものだ。

俺はというと…
北条にはあぁ言ったが、ここ最近あまり深酒をすると次の日まで引きずってしまう。
二日酔いが抜けない年齢になって来た。
明日は土曜日だし、二日酔いが抜けなくても問題はないが。
やはり、威勢を張っても寄る年波には勝てない。
認めたくなくても、老いを感じざるを得ない。

仕方ないか。
35歳を過ぎれば体のあちこちが悪くなるのは仕方のない事だし覚悟はしていた。
もうそろそろ若い北条にも付いて行けない年齢になって来たのだ。

と、北条の半分のスピードでビールを飲んでいると

~♪♪♪

テーブルに置いてある北条のスマホが鳴り出した。
どうやら電話のようだ。

「あ、ちょっとすいません。電話みたいです」
「あぁ。かまわねぇよ」

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