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恋に落ちる時
第2章 フットサルの彼 -2-
15分程たっただろうか、ようやく電車が動き出し次の駅に到着すると、待ち構えていた大量の乗客が一気に車内へと流れ混んできて、人波に圧された彼女が、押し潰されるように俺の胸へ飛び込んできた。

スラっとしたその子はヒールを履いているせいもあって俺と7cm程しか身長が変わらず、少し向こうが背伸びすればキスが出来てしないそうな距離だ。

慌てた顔で、俺の胸あたりの両サイドの壁に手をつき一生懸命押し返そうとするけど、ギュウギュウの電車では無力で。

「…すみません。」

俺に小さな声で謝りながら、恥ずかしそうにうつむき顔を赤く染めるその姿がすげぇ可愛くて…思わず守ってやりたいというか、抱き締めたい衝動にかられた。


…たぶんその時に恋に落ちたんだと思う。


もちろんそんな事したら捕まるから、なるべく顔を背けるように向きを変える。

「いえ、こちらこそスミマセン。でも次降りるんで安心して?」

彼女はうつむいたまま首を縦にふり、俺達はそれ以上の言葉を交わすことなく、あっという間に電車は降車駅の大手町に到着してしまった。


あれからなんとなく朝の電車に乗るとあの子の姿を探す自分がいたけど、会えることは一度もなくて…さすがに諦めかけてた頃に突然、君がフットサルに姿を現したんだ。

一目であの時の子だって気付いて、胸が高鳴った。

あー、これ完璧好きだわ…。

君が酔っぱらってくれたのも、彼氏と別れたばっかりだっていうのも、俺にとってはまたとないチャンスで、とにかく接点が出来たことがめちゃくちゃ嬉しかった。


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