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恋に落ちる時
第7章 丸の内の彼 -4-
あの日からもう1年近く経つんだ。

家のベッドに寝ころびながら、ふと思い返していた。

はじめのうちは、

「今日来る?」

とお店でそっとカギを渡されてたのが、半年位経った頃に、

「いつでもおいで」

と合カギを渡された。

もしかして?と一瞬、勘違いしそうになったけど、好きと言われたことも、付き合ってと言われたこともない、ましてや、会うとき以外はマメに連絡を取り合うこともない関係…良い歳してバカな期待はやめといた。

だけど、

「平日でも泊まっていけるように服置いときな」

と言ってくれたり、

「メニューの参考にしたいから」

と美味しいお店に一緒に連れていってくれたり、少しずつ長くなる彼との時間、そして、近くなる距離の中で、日に日に彼に惹かれていく自分がいた。

最近になって、『彼が好き』という気持ちを認めてからは、アキラさんに求められるのがすごく嬉しい反面、最初の日に言われた

「彼氏いらないんだよね?」

の防御線を思い出しては悲しくなる、そんなことを一人で繰り返してて、上辺は取り繕ってるけど、本当の私はアキラさんが求めている大人の物分かりの良い女とは全然程遠い。

今の関係をずっと続けていくなんて、無理だなぁ。彼女としてそばにいれるようになりたい…

仕事も昇格してから、しばらく経ってなんとかまわせるようになってきたし、会う頻度も増えてるから彼側も前よりは余裕も出てきたんじゃないかなって思う…気持ち、伝えてみようかな。

そう覚悟を決めた。








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