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~菊タブー~ お妃候補はドレサージュに陶酔し…
第8章 為政者たちによる危険な罠 日米合同皇太子妃拷問絵巻 日本篇
「もう一度尋ねるよ、‘皇太子妃郁子さま’、と呼ばれたくはないかね? 私としてはお妃の『上司』として君を祝福したいのだが…。それに」
と、意味深な間を置く山辺だ。
「…御父上の国連大使就任を後押ししてあげてはいかがかね?」

理想的な国際社会構築を願う父、ややもすれば野心家としても知られる小越典泰。その悲願である国連大使就任まで盾に取るようなニュアンスの脅迫に、狼狽する郁子。確かに郁子がこの国の帝の息子と結ばれれば、その身内の権力、影響力は多大なものになるだろうことは容易に想像がつく。日本らしい粘着質で情実的ともいえる凶悪、拷問の手法だと郁子は憤る。

「お父様だって…娘であるわたくしの望まぬ結婚など、推し進めるはずはありませんわッ」
「ふむ…考えを変えるつもりはない様子だねぇ」
山辺は少々呆れた様子だが、さらなる折檻を郁子に加える口実ができたことを密かに悦んでもいることは察しがついた。

「私も君にこういう手段で『説得』を試みた以上、口外されると困るのだよ。君には口を噤んでもらわねば政治生命が保証されぬし、そのための保険が必要だ」
素っ裸で横たわる郁子に悪寒が走る。
「この料亭には、もうすぐさる御方が御見えになる。君の『良い返事』を期待して、ね。その場で君を辱めれば、いろいろな意味で私の身分も保証されることになるんだよ…」
サドらしい背筋の凍るような口調だった。

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