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第3章 カズオ

その頃、雅明のクラスは体育の授業中だった。
運動会へ向け、男女混合での授業。
制服よりも露出の高い体操着。
鮎美の胸にはあまりにもそれは物足りておらず、胸の中心には綺麗な横線が出来ている。
当然、雅明は鮎美の胸を何度も横目にチラチラの眺める。
鮎美自身は、自分の胸へのコンプレックスはありながらもそれを包み隠すこともプライドが許さず、前屈みになったり、手で覆う仕草もせず、ピンと胸を張る。
だが、走ったり、ジャンプをした拍子に胸が揺れる度表情が歪むことまでは取り繕うことが出来なかった。

普段はモデルのような体型と、既に完成され掛けている、男子から圧倒的な人気を誇る衣原舞に関心が集中しているのだが、この時ばかりは鮎美の胸に、男子は気を引かれてしまうのだった。

それだけに、気付かなかった。

その衣原舞が姿を消していることに。