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続・独占欲に捕らわれて
第4章 綻び
「やっぱり……」
千聖は大きなため息をついた。
「それで、千聖さんはどうするんだ? 証拠が必要だと言うなら、大人しく写真を撮られるが……」
「ううん、きっと紅玲は私が斗真に会ったって言えば、大人しく降参してくれると思うわ」
「たしかに、無駄な悪あがきをするタイプではないからな」
斗真は納得したようにうなずく。
「でしょ? だから私は今後のことを考えることにするわ」
「今後のこと、とは?」
「紅玲との距離感よ。思えば紅玲の話を流しすぎてた気がするの」
千聖はグラスに目を落とす。憑き物が落ちた顔をする千聖に、斗真は穏やかに微笑む。
「あぁ、是非ともそうしてやってほしい。それにしても、ここまで想われているのに、紅玲はなにが不満なんだか……」
「不満?」
呆れ返りながら言う斗真を、まじまじと見つめる。
「変な意味ではないよ。今回の騒動は、紅玲が駄々をこねているように思えてさ。君に仕事を辞めてほしいって」
「ふふっ、たしかに駄々っ子みたいね。さて、困った駄々っ子は、どうしてあげようかしら?」
千聖は企むような笑みを浮かべると、グラスを空にした。
それから30分も呑むと、千聖はまだ呑むつもりでいるという斗真に1万円札を押し付けて、居酒屋を後にした。その足でコンビニへ行くと、便箋と封筒、ボールペンを買って帰宅する。
風呂に入ろうとしたところで、紅玲から着信が入る。
「どうしたの? まだ9時すぎよ?」
『なんだか無性に声が聞きたくなっちゃって。静かだけど、どこにいるの?』
寂しさが滲む紅玲の声に、千聖は頬を緩める。
「家にいるわ。優奈は合コンに行くっていうから、ひとりで呑んで来たの」
『そっかぁ……。さぞかし楽しかったんだろうねぇ。チサちゃんの声、オレが旅行に出てから1番明るい……』
「そういうあなたは元気がないみたいね。寂しいならはやく帰ってきてよ」
千聖の言葉に、紅玲は力なく笑う。
『んー……そうだねぇ……。検討しておくよ。それじゃあ、またね』
一方的に電話を切られ、千聖は小首を傾げてスマホを見る。
「諸刃の剣ってやつかしら? それとも、策士策に溺れる? どっちでもいいけど」
紅玲の策略になんとなく勘づいた千聖は、苦笑しながらスマホを置くと風呂に入った。
千聖は大きなため息をついた。
「それで、千聖さんはどうするんだ? 証拠が必要だと言うなら、大人しく写真を撮られるが……」
「ううん、きっと紅玲は私が斗真に会ったって言えば、大人しく降参してくれると思うわ」
「たしかに、無駄な悪あがきをするタイプではないからな」
斗真は納得したようにうなずく。
「でしょ? だから私は今後のことを考えることにするわ」
「今後のこと、とは?」
「紅玲との距離感よ。思えば紅玲の話を流しすぎてた気がするの」
千聖はグラスに目を落とす。憑き物が落ちた顔をする千聖に、斗真は穏やかに微笑む。
「あぁ、是非ともそうしてやってほしい。それにしても、ここまで想われているのに、紅玲はなにが不満なんだか……」
「不満?」
呆れ返りながら言う斗真を、まじまじと見つめる。
「変な意味ではないよ。今回の騒動は、紅玲が駄々をこねているように思えてさ。君に仕事を辞めてほしいって」
「ふふっ、たしかに駄々っ子みたいね。さて、困った駄々っ子は、どうしてあげようかしら?」
千聖は企むような笑みを浮かべると、グラスを空にした。
それから30分も呑むと、千聖はまだ呑むつもりでいるという斗真に1万円札を押し付けて、居酒屋を後にした。その足でコンビニへ行くと、便箋と封筒、ボールペンを買って帰宅する。
風呂に入ろうとしたところで、紅玲から着信が入る。
「どうしたの? まだ9時すぎよ?」
『なんだか無性に声が聞きたくなっちゃって。静かだけど、どこにいるの?』
寂しさが滲む紅玲の声に、千聖は頬を緩める。
「家にいるわ。優奈は合コンに行くっていうから、ひとりで呑んで来たの」
『そっかぁ……。さぞかし楽しかったんだろうねぇ。チサちゃんの声、オレが旅行に出てから1番明るい……』
「そういうあなたは元気がないみたいね。寂しいならはやく帰ってきてよ」
千聖の言葉に、紅玲は力なく笑う。
『んー……そうだねぇ……。検討しておくよ。それじゃあ、またね』
一方的に電話を切られ、千聖は小首を傾げてスマホを見る。
「諸刃の剣ってやつかしら? それとも、策士策に溺れる? どっちでもいいけど」
紅玲の策略になんとなく勘づいた千聖は、苦笑しながらスマホを置くと風呂に入った。