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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第6章 第二話【春の日】其の弐
あまりにも自分が惨めで情けなくて、お逸は今度は哀しくて涙が出る。滅多に逢えない真吉にこうして、やっと逢えることができたというのに、何で自分は、こんなつまらない話しかできないのか。
真吉は静かな眼でしばらくお逸を見ていたが、やがて、その顔に優しい微笑がひろがった。
「馬鹿だな」
やっぱり嫌われてしまった―と、お逸が絶望的な気持ちになった時、お逸の身体は再び真吉の逞しい腕に抱きしめられていた。