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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第7章 第二話【春の日】其の参
松風には東雲の気持ちはよく理解できる。東雲の言うとおり、彼女がお逸をひたすら憎んだのは、何も真吉に愛されるお逸への嫉妬だけではない。女として、けして惚れた男に添うことの叶わぬ我が身の運命(さだめ)と比べて、お逸は自由に男を愛せる。どうしてもその違いの理不尽さに合点がゆかなかったからだ。
「そうだよ、あたしは、あの薄汚い小娘に妬いてるのさ。そりゃア、真さんの心をけして私に渡さない憎い恋敵ではあるけれども、あたしがあの娘を憎いと思うのは、それだけじゃない。あたしらには自由にならない恋が、どうして、あんな小娘には許されるのか、それが納得ゆかないんだ」
「そうだよ、あたしは、あの薄汚い小娘に妬いてるのさ。そりゃア、真さんの心をけして私に渡さない憎い恋敵ではあるけれども、あたしがあの娘を憎いと思うのは、それだけじゃない。あたしらには自由にならない恋が、どうして、あんな小娘には許されるのか、それが納得ゆかないんだ」