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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第7章 第二話【春の日】其の参

真吉から貰った梅のひと枝は大切に女中部屋の片隅に飾っていた。むろん、花瓶などたいしたものはないゆえ、縁の欠けた湯飲みに水を入れて枝を挿しているだけだったが。
毎日水を換え、大切にしていても、梅の花は数日でしぼんでしまった。今でもお逸はその枯れた枝を大切に懐にしまっている。いつも肌身離さないでいれば、真吉を身近に感じることができるからだ。今度はいつ逢えるかという不安に叫び出しそうになる自分を支えることができる。
毎日水を換え、大切にしていても、梅の花は数日でしぼんでしまった。今でもお逸はその枯れた枝を大切に懐にしまっている。いつも肌身離さないでいれば、真吉を身近に感じることができるからだ。今度はいつ逢えるかという不安に叫び出しそうになる自分を支えることができる。

