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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

この空模様では雨が降るとは考えられないけれど、用心はした方が良いだろう。それにしても、おみねは遅い。おみねは、江戸近在の小さな農村から出てきた娘だという。二親は借りた土地を細々と耕して暮らす百姓であった。伊勢屋に奉公に上がってまだ漸く一年というから、もしかしたら、広い寺内で迷ったのだろうか。だとしたら、このまま自分一人で帰ることも躊躇われた。
あれこれと思案を巡らせながら、流石に心細い想いになったときのことだ。地面に散り敷いた紅葉を踏みしめる足音が響いた。思わずビクリとして身を強ばらせた。
あれこれと思案を巡らせながら、流石に心細い想いになったときのことだ。地面に散り敷いた紅葉を踏みしめる足音が響いた。思わずビクリとして身を強ばらせた。

