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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

「あ―」
お逸の身体中から緊張が解け、安堵が一挙に押し寄せた。お逸の眼前にひっそりと佇むのは、手代頭の真吉であった。
「真吉さん?」
だが、真吉がどうして、こんな時刻にここにいるのか。ふと疑念を憶えた。清五郎は奉公人にとっても申し分ない主人ではあるが、その分、厳しい一面もある。たとえ手代頭だとて、まだ昼前だというのに、随明寺で紅葉見物など許しはしないだろう。本来ならば、真吉は当然、店にいるはずであった。
お逸の身体中から緊張が解け、安堵が一挙に押し寄せた。お逸の眼前にひっそりと佇むのは、手代頭の真吉であった。
「真吉さん?」
だが、真吉がどうして、こんな時刻にここにいるのか。ふと疑念を憶えた。清五郎は奉公人にとっても申し分ない主人ではあるが、その分、厳しい一面もある。たとえ手代頭だとて、まだ昼前だというのに、随明寺で紅葉見物など許しはしないだろう。本来ならば、真吉は当然、店にいるはずであった。

