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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第12章 第四話【恋月夜】 其の弐
 おしがの手が伸び、お逸の頬にそっと触れた。
「ほら、いつまでも泣いてばかりいるんじゃないよ。そんな辛気くさい顔をしてたら、幸せの方が逃げてゆくだろう?」
 おしがの手は乾いて、荒れている。苦労を重ねてきた女の手であった。かつて、彼女もまた苦界と呼ばれる女の地獄で数奇な運命を過ごしてきたのだ。その節くれだった小さな手は、彼女が生き抜いてきた歳月の厳しさを何より物語っている。
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