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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第12章 第四話【恋月夜】 其の弐
「どうして」
 お逸は言いかけて、言葉を呑み込んだ。
 涙が溢れそうになり、慌てて眼をまたたかせる。
「どうして、助けにきてくれなかったの?」
 お逸は真吉と視線を合わせぬまま、うつむいて言った。
「私は待ってたのに。真吉さんが助けにきてくれるのをずっと待ってたのに」
 襲いかかってくる清五郎に必死で抗いながら、真吉に心の中で助けを求めたのに。
 なのに、真吉は来てくれなかった。
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