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第2章 第一話【天つみ空に】　其の弐　　

　もう、自分は一人ではない。こうして自分の身を心配してくれる忠実なおみねがいつも傍にいてくれる。たとえ女中といえども、我が身が叱られるよりもお逸の身を案じていたというおみねの優しさに、お逸は姉妹の情のようなものを感じていた。
　いや、おみねだけではない、真吉もまたこの店のどこかでお逸を見守ってくれている。そう考えただけで、温かな気持ちになれる。
　少しずつ、自分はこの伊勢屋で自分の居場所を作ってゆけているのではないか、そう素直に実感できた。