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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

お逸はそのひと刹那の風景を瞼に灼きつけ、真っ白な紙に再現してゆく。お逸は絵は特に師について習ったわけではなく、全くの独学であった。強いていえば、お逸の画道の師は亡き父仁左衛門であったろう。とはいっても、いつも描いたものを見せるわけではなく、時折、気の向いたときにちらりと見せるほどのものだった。
下書きが済むと、たっぷりと絵の具を含ませた筆で色づけしてゆく。紅葉の色は燃える赤。まるで恋する少女の一途な心のよう。
下書きが済むと、たっぷりと絵の具を含ませた筆で色づけしてゆく。紅葉の色は燃える赤。まるで恋する少女の一途な心のよう。

