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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

「それとも、おとっつぁんが恋しくなって、泣いていたのかな」
お逸は、それには応えなかった。愛らしい小鳥を見ながら思い出していたのは、父ではない。全く別の男であった。だが、それは、いかにしても口にできるものではない。
お逸が黙り込むと、清五郎は小さな溜息をついた。
「どれ」
立ち上がり、お逸のひろげていた画帳を傍らから覗き込む。清五郎がぐっと間近まで近付いてくる。その拍子に、清五郎の腕がお逸の髪をかすめ、肩に触れた。刹那、お逸はピクリと身を震わせ、清五郎から離れるように後ずさる。
お逸は、それには応えなかった。愛らしい小鳥を見ながら思い出していたのは、父ではない。全く別の男であった。だが、それは、いかにしても口にできるものではない。
お逸が黙り込むと、清五郎は小さな溜息をついた。
「どれ」
立ち上がり、お逸のひろげていた画帳を傍らから覗き込む。清五郎がぐっと間近まで近付いてくる。その拍子に、清五郎の腕がお逸の髪をかすめ、肩に触れた。刹那、お逸はピクリと身を震わせ、清五郎から離れるように後ずさる。

