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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

「はい、確か一年前くらいだったと思います。おとっつぁんが一人で碁盤に向かっているところを描いたものですわ」
清五郎はなおもしばらく画帳をめくっていたが、やがて、畳むとお逸に返してよこした。
「仁左衛門さんは、お逸ちゃんを殊の外可愛がっていた。ずっと父一人子一人だったのだから、お逸ちゃんも淋しいだろう」
しんみりとした口調で言う清五郎に、お逸は微笑む。
「いいえ、今は伊勢屋さんが私のおとっつぁんかお兄さんのようだから、淋しくはありません。こんなに良くして頂いて、何とお礼を言ったら良いのか」
清五郎はなおもしばらく画帳をめくっていたが、やがて、畳むとお逸に返してよこした。
「仁左衛門さんは、お逸ちゃんを殊の外可愛がっていた。ずっと父一人子一人だったのだから、お逸ちゃんも淋しいだろう」
しんみりとした口調で言う清五郎に、お逸は微笑む。
「いいえ、今は伊勢屋さんが私のおとっつぁんかお兄さんのようだから、淋しくはありません。こんなに良くして頂いて、何とお礼を言ったら良いのか」

