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夢で逢えたなら~後宮秘談【怨のものがたり~朝鮮王朝後宮譚改題
第1章 恋の訪れ

母が問いただしたところ、父は重い口を渋々開いた。七福はかつて両親と共に夜逃げしたのである。二十一年前、職人だった七福の父親は酒代にゆきずまり、娘を売った。二歳違いの妹はわずかばかりの金と引き替えに遊廓に売られ、それでも借金が返せなくて一家はある日突然、かき消すようにいなくなったのだ。
その話を聞くなり、母は絶句した。飲んだくれた挙げ句、我が娘を妓房に売り飛ばすような父親を持つ七福がその後、どのような人生を辿ったかを悟ったに違いない。
母にはその時、既に殊の顛末のすべてが見えていたのだろう。頭を抱えるようにして座り込んだ母は、〝哀號(アイゴー)、何てこった〟と、うわ言のように繰り返していた。
その話を聞くなり、母は絶句した。飲んだくれた挙げ句、我が娘を妓房に売り飛ばすような父親を持つ七福がその後、どのような人生を辿ったかを悟ったに違いない。
母にはその時、既に殊の顛末のすべてが見えていたのだろう。頭を抱えるようにして座り込んだ母は、〝哀號(アイゴー)、何てこった〟と、うわ言のように繰り返していた。

