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夜明けまでのセレナーデ
第5章 裏窓〜禁じられた恋の唄〜
「…やめて…ください…」
慌てて瑞葉は後退りし、手を振り払おうとする。
「…何もしません。
貴方を傷つけるようなことは、神に誓っていたしません」
瑞葉の両手を握りしめ、真摯に掻き口説く。
「…けれど、教えてください。
貴方の心の片隅に、私が入れる余地はありますか?」
「…え…?」
長い睫毛を瞬いて、速水を見上げる。
男の貌が近づき、重大な秘密を打ち明けるように囁かれた。
「…貴方には、恋人がいらっしゃいますね?
…貴方をこの塔に連れてきて閉じ込めた…貴方の執事です」
…瑞葉は怯えたように貌を背けた。
「…答えたく…ありません…」
その蜂蜜色の艶やかな美しい髪を梳き上げるように撫で、瑞葉の顎を優しく捉えた。
…静謐な…凛とした声が、鼓膜に響いた。
「…もう貴方は、このまやかしの愛の塔から出なくてはならないのです」
「…まやかし…?
なぜ、そんなことを…」
速水の手から逃れようと、瑞葉はもがいた。
しかし、それはいとも容易く、男の逞しい手によって制された。
速水の瞳が、やや苦しげに…けれど真っ直ぐに瑞葉を見据え語りかけた。
「…貴方の執事、八雲さんは…貴方の実の父親だからです」
…エメラルドの美しい瞳が、恐怖に見開かれ…その桜色の口唇から、絹を裂くような悲鳴が漏れた。
その声を塞ぐように、男の唇が瑞葉の口唇に重なり…その華奢な身体が狂おしく抱き竦められた。
慌てて瑞葉は後退りし、手を振り払おうとする。
「…何もしません。
貴方を傷つけるようなことは、神に誓っていたしません」
瑞葉の両手を握りしめ、真摯に掻き口説く。
「…けれど、教えてください。
貴方の心の片隅に、私が入れる余地はありますか?」
「…え…?」
長い睫毛を瞬いて、速水を見上げる。
男の貌が近づき、重大な秘密を打ち明けるように囁かれた。
「…貴方には、恋人がいらっしゃいますね?
…貴方をこの塔に連れてきて閉じ込めた…貴方の執事です」
…瑞葉は怯えたように貌を背けた。
「…答えたく…ありません…」
その蜂蜜色の艶やかな美しい髪を梳き上げるように撫で、瑞葉の顎を優しく捉えた。
…静謐な…凛とした声が、鼓膜に響いた。
「…もう貴方は、このまやかしの愛の塔から出なくてはならないのです」
「…まやかし…?
なぜ、そんなことを…」
速水の手から逃れようと、瑞葉はもがいた。
しかし、それはいとも容易く、男の逞しい手によって制された。
速水の瞳が、やや苦しげに…けれど真っ直ぐに瑞葉を見据え語りかけた。
「…貴方の執事、八雲さんは…貴方の実の父親だからです」
…エメラルドの美しい瞳が、恐怖に見開かれ…その桜色の口唇から、絹を裂くような悲鳴が漏れた。
その声を塞ぐように、男の唇が瑞葉の口唇に重なり…その華奢な身体が狂おしく抱き竦められた。