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夜明けまでのセレナーデ
第7章 Fantôme de l'Opéra 〜epilogue〜
…その手紙は、ある日不意に東京の星南学院のもとに届いた。

郵便配達人からそれを受け取り一読するなり、薫は転げるように紳一郎の執務室に駆け込んだ。

「し、し、し、紳一郎さん!
た、大変です!」
紳一郎が書き物にペンを走らせながら、端正な眉を顰める。
「ノックは?行儀が悪いぞ。
薫はもうここの教員なんだから、生徒の手本になれ」

「そ、そんなこと!言ってる場合じゃないですよ!
これ!これ…読んでください!」
息せき切って押し付けられた手紙が、まだまだ珍しい外国郵便なのに気づく。
「…パリの…速水さんからです…!」
急いで中の手紙を取り出し、眼を走らせる。

「…そんな…馬鹿な…!」
紳一郎の涼やかな眼差しが見張られ、絶句する。

暫くして漸く、掠れた声が漏れる。
「…信じられない…!
八雲さんは…生きていたのか…⁈
…それに…」
「紳一郎さん…!」

二人は眼を見合わせ、交わすべき言葉を失った。


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