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夜明けまでのセレナーデ
第8章 新たなる運命
「はあ?」
ぽかんとした貌のまま、光を見つめる。
居間を退出し掛かかっていた泉が驚いたように振り返る。
「…奥様…?
今、なんと仰せられましたか?」
「陛下の末宮様をこちらでお預かりして差し上げて欲しいのよ。
…というか、もう陛下とお約束してしまったの」
涼しい貌でお茶を飲む光に、薫は詰め寄る。
「何を勝手に請け負われているのですか!
そんな大事なことを!
…大体、末宮様…て星南学院女学校に通われていた宮様ですか?
でもあのお方は、もうどちらかにお輿入れなされていらっしゃるはずでしょう?」
…以前、馬術大会でちらりと貌を見た。
古びた宮中の雛人形のように冷たく無表情な宮様だった…。
確か、どちらかの宮家に嫁がれたはずだ。
「いいえ。違うの。
陛下にはもうお一人、姫宮様がいらっしゃるのよ」
「へ?」
光が目配せをして、泉を手招きする。
二人を近くに寄せて、小声で囁く。
「…陛下が奥女中との間に作られた落とし胤の宮様がいらっしゃるの…。
知る人ぞ知る姫宮様よ」
ぽかんとした貌のまま、光を見つめる。
居間を退出し掛かかっていた泉が驚いたように振り返る。
「…奥様…?
今、なんと仰せられましたか?」
「陛下の末宮様をこちらでお預かりして差し上げて欲しいのよ。
…というか、もう陛下とお約束してしまったの」
涼しい貌でお茶を飲む光に、薫は詰め寄る。
「何を勝手に請け負われているのですか!
そんな大事なことを!
…大体、末宮様…て星南学院女学校に通われていた宮様ですか?
でもあのお方は、もうどちらかにお輿入れなされていらっしゃるはずでしょう?」
…以前、馬術大会でちらりと貌を見た。
古びた宮中の雛人形のように冷たく無表情な宮様だった…。
確か、どちらかの宮家に嫁がれたはずだ。
「いいえ。違うの。
陛下にはもうお一人、姫宮様がいらっしゃるのよ」
「へ?」
光が目配せをして、泉を手招きする。
二人を近くに寄せて、小声で囁く。
「…陛下が奥女中との間に作られた落とし胤の宮様がいらっしゃるの…。
知る人ぞ知る姫宮様よ」