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夜明けまでのセレナーデ
第1章 屋根裏部屋の約束
「薫様!空襲警報が発令されました!
すぐに地下の防空壕にお逃げ下さい!」
静寂に包まれた夜半の広い屋敷の中…執事の泉の大きな声と大階段を駆け上がる足音が近づいてくる。
…確かにサイレンの音が微かに響いているような気がする。
だが、それはほんの僅かだ。
薫は部屋の中…寝台に寝転び、ため息を吐く。
…またか。
これで、連日連夜だ。
一々めんどくさい。
年老いたシェパード犬・カイザーも、一瞬薫を見上げたがすぐに蹲って眠ってしまった。
…どうせ、すぐに解除になるさ…。
薫は外で読めばすぐさま非国民と罵倒されるイギリスのワイルドの小説の続きを紐解く。
「薫様!何をなさっているのですか。早くこちらに!」
泉が部屋の扉を乱暴に押し開け、飛び込んできた。
「逃げなきゃ駄目?どうせまた威嚇だけだろう」
物憂げに尋ねる薫の腕を掴み、半ば引き摺るように部屋を出る。
「今夜の敵機は数が多いです。いつもとサイレンが違う。
カイザー、早く来い」
カイザーに厳しく命令し、後に従わせると、泉は薫を素早く地下室へと連れ出した。
すぐに地下の防空壕にお逃げ下さい!」
静寂に包まれた夜半の広い屋敷の中…執事の泉の大きな声と大階段を駆け上がる足音が近づいてくる。
…確かにサイレンの音が微かに響いているような気がする。
だが、それはほんの僅かだ。
薫は部屋の中…寝台に寝転び、ため息を吐く。
…またか。
これで、連日連夜だ。
一々めんどくさい。
年老いたシェパード犬・カイザーも、一瞬薫を見上げたがすぐに蹲って眠ってしまった。
…どうせ、すぐに解除になるさ…。
薫は外で読めばすぐさま非国民と罵倒されるイギリスのワイルドの小説の続きを紐解く。
「薫様!何をなさっているのですか。早くこちらに!」
泉が部屋の扉を乱暴に押し開け、飛び込んできた。
「逃げなきゃ駄目?どうせまた威嚇だけだろう」
物憂げに尋ねる薫の腕を掴み、半ば引き摺るように部屋を出る。
「今夜の敵機は数が多いです。いつもとサイレンが違う。
カイザー、早く来い」
カイザーに厳しく命令し、後に従わせると、泉は薫を素早く地下室へと連れ出した。