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夜明けまでのセレナーデ
第10章 僕の運命のひと
…それから、またたくまに半年が過ぎ…再びあの暑い夏が来ようとしていた。

つまり、終戦から一年が経とうとしていたのだ。

…相変わらず、暁人からの手紙はおろか、消息ひとつ掴めなかった。
暁人の父親の大紋春馬は日々、奔走しながら息子の消息を尋ね集めていたが、有力な情報は何ひとつ得られなかった。

ただひとつ、分かっていることは暁人が乗っていた軍艦から生還したものは、一人も見つかってはいないということだけだった。

それを聞かされた薫は表情ひとつ変えなかった。
泣いたりしたら、暁人が二度と帰ってこないような気がしたからだ。

…絢子はこの事実に更に大変な衝撃を受け、心身を弱めてゆき…今では夫、大紋の貌も分からなくなっていた。



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