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夜明けまでのセレナーデ
第10章 僕の運命のひと
「…ああ…十市…もっと…もっとして…」
紳一郎の甘く掠れた声に、体内の十市の牡が硬く巨大に昂ぶるのが感じ取れる。
「…や…あ…ん…っ…。
おお…き…」
淫らに呻く唇を千切れるほどに貪られる。
最奥を突かれ、唇から悦びの悲鳴が上がる。

「…坊ちゃん…!
…あんたを…ずっと抱きたかった…。
あんたに会いたくて…抱きたくて…おかしくなりそうだった…」
…美しいアレキサンドライトの瞳で熱く射抜くように見つめられる。

「…僕も…おまえが…欲しかった…。
…おまえの身体を感じたくて…たまらなかった…」
「…坊ちゃん…愛してる…」
力強く淫らに紳一郎を求めながら、同時に慈しみ深く癒してゆく…。
十市の性愛は、変わっていなかった。

「…ああ…十市…」
褐色の肌に唇を寄せる。
男の肩口…ざらざらとした…まだ生々しい傷跡…。
…その先の…あるはずだった逞しい手は、ない。
びくりと十市の身体が震える。
「よせ…。すごく…醜い傷痕だ…」
「…十市…」
紳一郎はそっと唇をつけ、舌先を伸ばす。
「…美しいよ…十市…。
お前のここは、とても美しい…」
「…坊ちゃん…!」
熱く…優しい口づけを繰り返す。
「…生きて、帰ってきてくれて…ありがとう…」

褐色の逞しい右手が、強く紳一郎の貌を引き寄せる。
「…生きていて、良かった…。
あんたに会えた…あんたと愛しあえた…」

アレキサンドライトの瞳から温かな雫が滴り、紳一郎の唇を濡らした。

「…十市…。
愛している…」

十市が雄々しい貌を悔しげに歪めた。
「俺が先に言うつもりだったのに…」
紳一郎は吹き出した。

白くほっそりとした両手をがっしりとした首筋に絡めて、甘えるように囁いた。

「…何回でも…言ってくれ。
僕が聞き飽きるまで…」

返事の代わりに落ちてきたのは、甘く熱い口づけであった。

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