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夜明けまでのセレナーデ
第11章 僕の運命のひと 〜人魚姫と王子のお伽話〜
「私は気がつくと、ある小さな小島に流れ着いていたのです」

…その話は、実に奇妙で…さながらいにしえのお伽話か寓話のように不可思議で幻想的でさえあった。



暁人が目覚めたところは、前時代の遺物のような古い古城…そしてまるで中世の貴族のような凝った造りの寝台の上であった。

海に面した切り立った崖の上に聳え立つその古城は、外界と接触を頑なに拒んだ海賊の末裔の頭領の住処であった。


「海賊?どういうこと?」
薫が思わず口を挟んだ。

暁人が困ったように薄く微笑む。
「…信じられないよね。
僕ですら、未だに信じられないんだから…」

…そうして、再び真摯な口調で語り始めた。

「でも、信じて欲しいのです。
…これから僕が話すことすべてを…」



…暁人が長い眠りから目覚めると、黒髪を背中まで垂らした緋色の古風なドレスを身に纏ったエキゾチックな美しい少女が眼に入った。

「パパ!王子様が目覚めたわ!」
少女が嬉しげに叫んだ。

「…王子…様…?」
靄がかかったようにぼんやりとする頭で、必死に思い出そうとするが、何も思い出せない。
起き上がろうとすると、途端に激しい頭痛に襲われた。
少女が慌てて止める。
「駄目よ、まだ起きちゃ!
貴方、浜に打ち上げられていて、一週間以上も眠っていたのよ。
全身傷だらけで、瀕死の状態だったんだから」

…大きなエメラルドの瞳が暁人を見つめ、眼が合うと恥じらうように小麦色の滑らかな頰を薔薇色に染めた。


「はあん。ようやくお目覚めか。俺の娘の王子様は…」
扉が荒々しく開かれ、二メートル近くありそうな筋肉隆々とした大男が、姿を現した。

暁人は、男を見て息を飲んだ。

…長い豊かな黒髪は巻き毛で、背中をうっそりと覆っている。
赤銅色の素肌、太い眉、目鼻立ちが派手で、その瞳は傍にいる少女と同じエメラルド色に輝いていた。
分けてもその唇は如何にも特徴的に肉惑的に分厚く、奇妙な笑みを湛えていたのだ。

白い麻のシャツは胸元がはだけ、じゃらじゃらとした金鎖を飾っていた。
黒いズボンはぴったりとしていて、その下は黒革のブーツ姿であった。

…どこかで…見たことがある…。
そうだ。
海賊だ。
西洋の海賊に酷似した風体と容姿の男が、暁人の目の前に現れたのだ。
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